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翌々日。11月3日。
食道に集まったリトルバスターズの面々は、パン作りの方法に苦心していた。
あのあと恭介が古河パンに電話をかけたところ、できれば女性陣にはパンを焼く手伝いをしてほしいとの旨をあちら側からも伝えられたのだ。しかも、そこの店主曰く、できれば生地を作るところから焼き上げるところまでできるようになって欲しい、とのことだった。
「あほだな」
容赦なく鈴が恭介に一言。
「これは俺のミスじゃない」
涼しげに返すリーダーだったが、さすがに彼でもこの問題ばかりはどうしようもなかった。
仕方がないのでこのように休みの日に食堂の厨房を借り(一学期に食堂のおばちゃんたちが倒れたとき、リトルバスターズでヘルプに入ったこともあり、休日の昼間から夕方までなら、と快く貸して貰えたのだ)、パン作りを一から勉強することになったのだ。
「恭介、材料ここでいいか?」
「あぁ、サンキュー」
今まで買い出しに出ていた真人、謙吾が荷物を下ろす。女性陣が調理組ということで、男性陣は出る幕がなかった。それならと言い、二人が材料の買い出しを申し出ていたのだ。
「ようし!頑張るよ~!!」
「頑張るのですっ!!」
エプロンに腕まくりをして気合いを入れる小毬とクド。
その様子を見て、
「この場合、お菓子作りが得意な小毬さんが頼りだよね…」
と理樹がこぼした。
「心配し過ぎだぞ、理樹。レシピさえあれば食べられないものにはなるまい」
「そーですヨ!それにマフィン作りの達人のこのはるちんを忘れて貰っては困りますヨ!!」
謙吾が彼の心配性を笑うが、二人の間に一番の心配要素が割り込んでくる。半秒前までの謙吾の余裕が凍り付いた。
しかも、その手には早くも悪戯の為の道具が握られている。
「三枝…」
「何ですか?」
「葉留佳さん…手に持っている物なに?」
「はっ!?や…ヤハハ!こここここれ!?なんでもない、なんでもないんですヨ~!!あっ、姉御ー!!今日もおっぱいおっきいッスね~」
いかにも取り繕うかのように来ヶ谷の方に駆けて行った葉留佳。手に持っていたのは…禍々しい配色のドロップの缶だった(よくイタズラグッズのショップで売っているアレである)。
一抹…いや、その10倍以上の不安を残したまま、料理は開始される。
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