BLあれば憂いあり

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「パン屋をしましょう」  一堂がぽかんと口を開けた。  一堂とはリトルバスターズ一行。いや、正しく言えば、ほうけているのはリトルバスターズの頼れるリーダー・棗恭介と、その隣で涼しげな顔をする姉御こと来ヶ谷唯湖、そして、 「店舗名は…『ドキッ☆男だらけの古河パン!女装もあるよ』です」 その言葉を放った西園美魚、その三人を抜いたリトルバスターズのメンバーだった。 「はいっ!」  その中で、元気よく手を上げるのは神北小毬。 「言ってる意味がよくわからないよ、みおちゃん」  頭に?を浮かべて言う。というか、?を浮かべているメンバーが大半だった。 「言葉の通りです」  そう言って美魚は手に持ったコップに麦茶を注ぎ、小毬にそれを渡した。そして同じように汗をかいた皆に労いのお茶をいれる。  今は夕暮れ、場所はグラウンド、季節は秋。  野球の練習を終え、普段なら棗・兄が「それじゃ、今日はここまで!解散!」と言う所で、彼が「今日はマネージャーからお知らせがある」と言ったのだ。 「いや、言葉の通りといわれましても…」 「あぁ、まったく話の内容が見えねぇぜ…」  三枝葉留佳、井ノ原真人が続く。  リトルバスターズの中でも特筆するほどの低脳ふたりだったが、今はそれが原因ではない。 「と、言われましても…」  手に持った紙コップ、そして水筒を片付ける美魚は少し困った顔をして、日傘の中から恭介に目配せする。  その合図を受けて恭介が話の先を預かる。 「実はだな…」
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