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「そして…負けた」
「いやいやいやいや!!」
話の急転直下、というよりも関係のなさすぎさにリトルバスターズの最たる(唯一の?)常識人、直江理樹がツッコミをいれる。
「それがどうしてパン屋につながるのさ!!」
もっともな質問である。
「いやな、ソイツと戦う前に約束してたんだよ…勝負に負けた方は買った方の言うことを聞く…ってな」
「何度聞いてもすごくそそられるシチュエーションですよね…」
「西園女史、妄想と鼻血は垂れ流さない方が良い」
「すみません来ヶ谷さん」
来ヶ谷の手渡すティッシュで鼻血を拭う美魚。漫才のようなやり取りを傍らに、こちらも漫才の様に理樹が恭介に続きを促す。
「それでソイツが出して来た罰ゲームが、指定した日に、『古河パン』ってパン屋を手伝え、っつうことだったんだ」
「リトルバスターズ全員で…か?」
赤と青のジャンパーを着た少年、宮沢謙吾が尋ねる。
「人手がいるらしい。なんでもそこの商店街が主催する大きな祭で出品店舗に選ばれたらしいんだが、家族でやってる店らしくてな」
「ふむ…しかし、パンなんて焼いたことはないぞ」
「ちょっと待ってよ、謙吾っ」
と、理樹。
「大切な事忘れてるけど、何さ!?『ドキッ☆男だらけの古河パン!女性もいるよ』って!?」
「直江さん、『女性もいるよ』ではなく『女装もあるよ』です」
「なお悪いよ!!」
美魚の冷静な半ばボケ気味の訂正に的確にツッコミつつ、理樹が叫ぶ。こうなると理樹は怖いもの知らずだ。
「まぁ…話せば長くなるが」
理樹の勢いに押されてか、冷や汗をかいて恭介が言う。
「やるならパ~っと派手に、俺たちらしくやりたいと思ったんだが…おもしろい企画がなかなか思い浮かばなくてな。そこで来ヶ谷に相談してみたら、西園なら何か良い案を出してくれるって言われてな」
「うむ、美魚君なら面白いイベントを思いついてくれると思ったんだ」
なぜこのチームの人々は相談する人をいちいち間違えてくれるか…とこの時理樹は口に出さずにつっこんでいた。
「で、西園に相談したら」
「はい、やはりここは女性の皆さんにパンを焼いてもらい、男性陣の皆さんには接客をしていただくのが最も理想的かと思いまして」
「で、それを思いついた?」
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