ever after

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 好きです。    好きです。    君が好きです。    君が誰よりも好きなんです。           「ねーー」    ちょこん、と机に顔を乗せ、彼女は少しすねたような表情をしていた。   「数学のプリントなら見せてあげられないよ」    何となく、彼女が言おうとしていることを予測し、意地悪くプイッと顔をそむける。   「な!?なにソレー!!  オーボー、オーボー。  今日は当てられる日なの。見せてよ!!」    ガタガタと俺の机を揺らし、暴れる。  まったく、子供なんだから。  仕方ないな、と俺はカバンに手を伸ばした。   「今回だけだよ?」   「やったー。大好きー!!」   「はいはい。ほら、プリント」    俺がプリントを差し出すと彼女は目をキラキラさせて自分の机の中を掻き出した。  大好き、ね…。  それは何よりも聞きたい言葉のはずなのに、ナゼか胸が痛い。  多分それは、俺が聞きたい「好き」とは意味がまったく違うものだから。  俺が望むその言葉が向けられるのは、アイツだけだから。  俺へ、じゃ…ない。   「へへへ、ありがとっ」   「いいから、早くしなよね。チャイムなっちゃうよ」   「おう!」    すぐ傍にいるのに。  こんなにも近くにいるのに。    届かない。  どんなに手を伸ばしても、どんなに全力で走っても、彼女には届かない。  それがくやしくて、くやしくて、でも離れることなんかできない。          好きです。    好きです。    君が好きです。    君が誰よりも好きなんです。    君のその瞳が、  君のその指先が、  君のその唇が、  君の…すべてが、  欲しくて欲しくてたまらないんです。    君が好きです。   「見せてもらってなんだけど……。  相変わらず字、キタナいね」   「うっ……」        そんな君が大好きです。
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