2次元

10/12
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
自分が乗っ取られている様な感覚がしながらも、彼は必死に目を瞬きもしない程に開いていた。 目を閉じれば、彼女が居なくなってしまいそうだったから。 もうしかしてコレは夢で本当の自分は寝ているかも知れない。 だったら何処から夢? 家に帰る前? 仕事が入る前? あるいは結婚するまえか?! もうしかすると会社継ぐ前か……? 神様…早く……早く目を覚まさせてください。 すると何か、痛みに似たものがジワジワと込み上がってきた。 変な妄想が頭をよぎる。 もし妻が居なくなったら? どうやっと生きれば良い? 何を見つめて生きてれば良い? 冷たい部屋には自分が1人。 毎日、妻が寝ていたベッドをさすり涙を流す自分。 しかし、そこに妻が寝る事はもう無い。 そんなベッドをさすっては泣きの繰り返し。 何という悲しい人生だろう。 自分は妻がいないと生きていけないんだ…。 「キミを失うのは嫌だッ!!」 徐々に腕に力が入る。 妻が苦しいとか痛いとか考え無しでどんどん力強くなっていく。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!