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自分が乗っ取られている様な感覚がしながらも、彼は必死に目を瞬きもしない程に開いていた。
目を閉じれば、彼女が居なくなってしまいそうだったから。
もうしかしてコレは夢で本当の自分は寝ているかも知れない。
だったら何処から夢?
家に帰る前?
仕事が入る前?
あるいは結婚するまえか?!
もうしかすると会社継ぐ前か……?
神様…早く……早く目を覚まさせてください。
すると何か、痛みに似たものがジワジワと込み上がってきた。
変な妄想が頭をよぎる。
もし妻が居なくなったら?
どうやっと生きれば良い?
何を見つめて生きてれば良い?
冷たい部屋には自分が1人。
毎日、妻が寝ていたベッドをさすり涙を流す自分。
しかし、そこに妻が寝る事はもう無い。
そんなベッドをさすっては泣きの繰り返し。
何という悲しい人生だろう。
自分は妻がいないと生きていけないんだ…。
「キミを失うのは嫌だッ!!」
徐々に腕に力が入る。
妻が苦しいとか痛いとか考え無しでどんどん力強くなっていく。
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