1次元

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事務所に声が響いているが数人の従業員は帰った為、変に思う者は誰もいない。 「やっと俺にも運が回ってきた… あの頃の俺とは……違うんだ」 クククと笑う彼は何かを考えている様な顔だった。 何か、何か、悪巧みでもする様な不敵な笑み。 20年間生きてきた彼はこれからという人生を全部仕事に捧げて来た。 4年間もだ。 中学の時に父親を亡くした彼は中学卒業後、父親の不動産屋を受け継いだ。 父親も始めたばかりで企業にはのらずこれからという時に、小さな会社をたちあげたまま交通事故で逝ってしまった。 しかし、親戚の間ではサラリーマンだった父は不景気だった会社をクビになり、小さな会社を立ち上げた。 しかし企業にはのらず、何もかも嫌になった父はワザと車にはねられた。 こういう噂があったが、本当だったかは分からない。
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