第3章

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「大通りは混んでますんで裏道抜けますね」 不意に前から声をかけられ慌てて返事をした。 「あ、はい」 「今日は会社の出張か何かですか」 運転手のおじさんが鏡越しに話しかけてきた。 「いえ…まぁちょっと…」 なんとなく正直に話したくはなかったので曖昧に笑っておいた。 「今はまぁ観光シーズンではあるけど、まだちょっと早いからね~」 「そうですね~」 「雪降るっていっても最近はここでもそんなに積もらなくなってるしな~…」 どうやらおじさんはおしゃべりみたいでずっと私に話しかける機会を伺っていたようだ。 はじめは適当に相手していたが、次第に煩わしくなり、私はまた窓の外を眺めた。 恭介に会いたい… そう強く願った 私が無視したので、運転手のおじさんは諦めたのか駅に着くまでほとんど話さなかった。
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