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昔、一匹の狐がいた
狐は言葉巧みに相手を騙し、傷付けてきた
狐は相手の気持ちを知っていた
けれどそれが出来た
そうやって狐は生きてきた
月日が経ち、狐は大きくなっていた
狐は独りだった
周りを傷つけ、いつしか誰も居なくなっていた
そんなある日
狐は人間に襲われた
石を投げられ、槍で刺され、木で叩かれ、散々やられた
狐は洞穴に逃げた
人間はその洞穴に岩で蓋をした
狐は何度も出ようと岩を押した
けれど岩はびくともしなかった
いつしか狐は疲れ果てて動けなくなった
狐は助けを呼ぼうとした
だが、助けてくれるものがどこにいよう
狐は後悔した
もう、泣こうが喚こうが駄目なのだ
そう思い知ると辛くなった
何もする気が起きなくなった
狐は心まで疲れ果ててしまったのだ
やがて狐はそのまま眠りについた――――
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