二章

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『憎い…』 闇が呻く。 昏い闇が呻く。 『人間が…憎い……!』 憎悪が渦巻く。 一人の男が、笑みを浮かべながら立っていた。 男は闇へ、その白く、白すぎる細い手を差し伸べる。 「復讐を果たしたくはないか?」 闇が一瞬身じろぐ。 男は抑揚を変えず、ただ述べるのみ。 「我に応(いら)え。」 闇がまた身じろぐ。 男は更に深く笑み、叫ぶように言った。 「解放を望め。復讐を求め、手を取れ。我に応え!」 その言葉にこたえるかのように、闇の触手が男の手に絡みつく。 次の瞬間―――…… ……―――。  
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