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諦めた。
あの時から全て、何もかも。
俺にとって無意味になった。
「しろ……」
四方一面、白で埋め尽くされている。
「見えない……か」
青空なんか消して、白で全て染めてしまいそうだ。
「いつまで……いなきゃいけないんだ……」
病院の屋上は、唯一あの薬の匂いから逃げられる場所だった。
屋上に干してある白いシーツも妙に外の世界と合わさって
その中で寝転んで目を閉じていれば、目が覚めた時に全て変わっている気がして
そんなわけないのに、いつの間にかそれが習慣になっていた。
「……戻るか」
今日もそれが終わって、いつも通り病室に戻ろうとした。
「………?」
しかし、ふい後ろから何か気配を感じて、気になってゆっくりと振り返る。
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