梅雨~距離~

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ザァ―――…… 毎日毎日 病室から見えるのは鬱陶しいくらいの雨。 雨、雨雨雨。 「うるせぇ―っ!!」 叫ぶが虚しく、鬱陶しい雨は降り続く。 横に座っている葉月はそんな咲良に気にも止めず、黙々と本を読んでいる。 「……はぁ」 この無視にも大概慣れた。 葉月は本を読み始めると何も話さないし、何も聞こえなくなる。 (もう梅雨か……) 屋上で彼女に会ったのは確か春の初め頃だったっけ。 梅雨に入り、屋上にはいられなくなったので葉月は俺の病室に来るようになった。 「……咲良」 「なんだ?本読み終わったのか?」 「叫ぶのは……良くない」 そう言い残し、また読書を始める。 「はぁ……」 葉月とはあれからこうして会うようになったが、未だに分からないことが多かった。 「……ふぅ」 それから約二時間後。 葉月はとりあえず読み終えたのか、いつものようにピンクのしおりを挟み、本を閉じた。 「終わったか。ずいぶん長く読んでたな」 「まだまだ先……たくさんある」
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