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凄んだ顔がすぐ間近にある。
睨むと意外と怖い。
「あんなに冷たい挨拶ってないでしょ。もっと言い方ないの?」
溜め息をつきながら それでも検診を始める。
「言い方って…あれが普通なんだけど」
冷たくしているつもりは全くない。
「せっかくの友達なんだから優しくしなきゃ」
「……友達?」
その言葉に違和感を覚える。
「違うの~?じゃあ恋人?」
「アホかお前」
短絡的な思考にほとほと呆れる。
なんでそうならないといけないんだ。
「じゃあ何なの?何のために葉月ちゃんとしょっちゅう一緒にいるわけ?」
「それは……」
上手く説明はできない。
だって、俺はまだ何も知らないんだ。
「ん?」
友達でもない。
恋人でもない。
じゃあ葉月は俺にとって何だ?
「俺は……知りたいだけだ」
今の考えを打ち消すように、力強く答える。
「どうして俺の名前を知っているのか、なんで会いに来たのか……その理由を知りたい」
そうしないと、先には進めない。
「……絶対に話さないけどな」
あんなに頑なに拒む理由も俺は知りたいのに。
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