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「……ま、俺には関係ないけどねぇ~。じゃあもう行くわぁ」
「何なんだお前は……」
やっぱりどこかつかめない。
所詮は他人事ってわけか。
(――ん?)
何か、胸に引っ掛かる気がした。
「咲良く~ん」
「……帰ったんじゃないのかよ」
「あははぁ~あのさぁ、葉月ちゃんって不思議だよねぇ」
「はぁ?」
「その不思議さがいいんじゃないの~?じゃあねぇ~」
最後まで意味が分からないことを言いながら、ひらひらと手を振り病室から出ていった。
「分からない……」
だが佐倉の言葉の一つ一つが気になった。
『信じてはいないくせに』
どきりとした。
一番触れられたくなかったし、一番考えたくなかったから。
「はぁ……」
難しい。
他人ってこんなに面倒臭かったっけ?
―――ズキッ
同じように傷んだ胸に、俺はもう気がつかなかった。
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