梅雨~距離~

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梅雨に入り久しぶりの晴れ間が見えた今日。 病室に葉月の姿はなかった。 「……来ないのか」 ここ最近、葉月は一度も顔を見せない。 最後に会ったのはもう二週間も前になる。 「どうしたんだろ……」 葉月がこんなに長く来ないのは初めてだった。 来ない日はたまにあっても、必ず水曜日には顔を出していたのに。 「今日は水曜日…だよな」 確認のため、壁にかけてあるカレンダーを見る。 間違いない。 今日は来るはずの日だ。 「葉月ちゃんまだ来ないのかなぁ…」 「あぁ…何があっ」 会話が止まる。 ちょっと待て。 それからゆっくりと視線を上に上げる。 「はぁい。来ちゃった!!」 「――――!!」 俺は初めて、声にならない叫びというのを上げた。 「何も殴らなくてもいいじゃなぁい!!ちょっと驚かせようとしただけで」 「うるさい黙れ喋んな。どこの病院に患者の病室に気配消して入ってくる医者がいるんだよ!!」 「大げさだってぇ~」 見た目だけはちゃんとした大人の男で医者だと言われてもまぁ納得ができるのに、こいつはどこまでも得体が知れない。
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