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必要以上のことはお互いに話そうとはしなかった。
『ごめんなさい…』
おまけに俺が一番に聞きたいことは答えてくれない。
関わろうと決めたのに、これからどうなっていくんだろうと思った。
だが
「葉月……」
不思議と
共に過ごす時間は苦痛ではなかった。
今までの俺なら、他人とこんな風に一緒にいるなんて考えられないし、思い付きもしない。
しかし、今はあの時間が居心地良かった。
沈黙の時でさえ、このままでいいと思った。
居るだけでいい。
葉月はそんな他人だった。
(他人……)
なんか変だ。
この言葉が引っ掛かる。
「葉月は……ただの……」
二人の距離
なかなか答えない彼女。
突然の、手紙。
今日一日考えることが多すぎた。
「疲れた……」
白い雲が、青い空が霞んでくる。
久しぶりの屋上で、涼しい風を体に受けながら
俺の意識は少しずつ遠のいていった。
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