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そこにいたのは、確かに弱い俺自身だった。
「もう一人の咲良って…どんな人?」
「……今の俺。そのままだよ」
俺がいて、もう一人の俺がいて、二人で一人の『咲良』なんだ。
弱くて脆い部分を認めて、初めて一人になれる。
「……会えて良かったんだね」
「え?」
「だって、なんだかすっきりした顔してる」
まだまだ不完全だけど、逃げない覚悟は固まった。
ならば、あとはどうとでもなるだろう?
「……そうだな」
俺はゆっくり起き上がる。
コンクリートの床に寝てたせいか背中が少し痛い。
「会えて良かった……分かったこともあるし」
葉月のほうを見て、互いに向き合う。
「葉月、血液型は?」
俺の言葉に、葉月はきょとんとしている。
「血液型だよ。ほら、何型?」
「え……AB型」
「誕生日は?」
ほらと、強く促す。
「7月7日……」
「葉月なのに?まぁいいや。趣味や特技は?」
「と、特技は特にないけど……」
「じゃあ趣味は?やっぱ読書?」
こくこくと、勢いよく頷く。
「……まぁ最初はこれくらいだな」
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