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「何なんだよ……」
あの日
俺達は確かに目を合わせ、お互いの存在を確認した。
だが会話なんて生まれず、彼女の人形の様な表情を向けられるだけだった。
(変な女……)
感情の読めない、冷たくとも取れる表情。
曇りのない漆黒の瞳。
一瞬引き込まれそうになったのは、多分気のせいだ。
(まぁいい)
彼女が決まって今日、水曜日に来る理由も、何故俺の名前を知っているのかも、調べようとも、聞こうとも思わない。
「関係ないんだ……」
自分自身に強く言い聞かせ、俺はゆっくりと階段を降り始めた。
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