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朱く静かにどこまでも広がる夕焼け空。
その朱色のキャンパスに、更に紅い絵の具が着色される。
「……」
その巨大なキャンパスを見つめる更に赤い髪を持った少年。
手には歪な大剣。
その隣には下半身だけの悪魔。
鮮血がシャワーのように降り注ぎ、辺りに血溜まりを作っている。
「レ、レクサス……」
フィアリアは恐る恐る呼びかける。
相手は一瞬ぴくりッと反応して、その紫色の瞳をフィアリアに向ける。
いつもと変わらぬその顔に安心感を覚えた。
「レクサス!もとに……」
「……」
しかし刹那、ニィィッと効果音が聞こえてきそうなほど頬を吊り上げ、凶悪な顔な笑顔を浮かべた。
それはあのジェイの笑顔と被るものがあったが、人間がその顔をすることで更に恐怖が増した。
そしてレクサスは走る。
左手に握る大剣が夕日に照らされるのと、血ノリとで赤く輝く。
最悪の光景にサテラもフィアリアも動かない。否、動けない。
レクサスに……殺される。
そう頭で認識したときには大剣は目の前でかかげられていた。
フィアリアは恐怖で涙を流した。
しかしそれも嘘になるか……。
ほんとは、レクサスに剣を向けられたことが一番哀しかった。
フィアリアは固く目を閉じた。
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