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耳をつんざくような金属音。
交差する黒と黒の剣。
形は違えどその剣の名は両者とも“タナトス”。
目の前に突然現れた男性は、長い腰まである銀髪を後ろで一つに束ね、優雅になびかせる。
黒くいかにも実力者だというような装飾の施された服。
腰に二本のベルト。
そこには形の違う三本の剣がささり、腕や足の部分にもベルトが巻かれている。
声は低かったが優しかった。
そして……、一瞬見えたその人の顔。
顔は30歳位だろうか?そうは言っても美形な部類なので実際はもっと上かもしれない。
そしてあの瞳。
彼と同じ紫色の瞳。
そして、握られているのはタナトス。
仮説が確信に変わる。
胸が高鳴る。
「剣帝……アルガロス=クーリッジ……」
フィアリアはぽつりと呟いた。
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