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「さて、フィアリア?君は何かオレに隠しているようだがどうしたのかな?」
レクサスは人の手形に赤く腫れた頬に手を当てながら口を開く。
「うん、そのことなんだが……。今から私が話すことは事実だぞ?それは君が助かった理由でもある」
フィアリアが真剣な表情で、レクサスに付着した生物(ナマモノ)を拭く手を止める。
レクサスもそれに応えるように、先程までのおちゃらけた様子もなく、真剣に耳を傾ける。
「私達が助かったのはな……。
剣帝のおかけだ」
大きく息を吸って吐き出された言葉は、レクサスの体を電流のように駆け抜ける。
「……は?」
こんなスットンキョウな答えしか出なかった。
フィアリアも目を伏せ見がちで、何やら辛い様子だ。
しかし、それが何故かレクサスにはわからなかった。
自分の過去を話した記憶もないし、普通、剣帝と会えたと言えば、剣を扱うものなら飛んで喜ぶはずだ。
なのに、フィアリアは辛そうに胸の辺りで祈るように手を組み、ギュッと目を瞑っている。
それがたまらなく嫌だった。
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