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アルガロスは二人にお礼を言うと、体を翻して歩き始めた。
「え!?あの、レクサスに会わないんですか!?」
フィアリアの言葉に足を止めるが、振り返らずアルガロスは答える。
「ソイツはオレを……殺したいほど憎んでいるだろうからな。
会うわけにはいかない。
それに……、オレの仕事も終わってないんだ……」
フィアリアとサテラは黙って話を聞いている。
暗くなった空に隠れる彼女らの表情は読めない。
その瞳には何を思っているのだろうか……。
「レクサスのこと……よろしく頼むぞ?
ソイツには……君達しかいないんだ」
そう言うとアルガロスは一蹴りで夜の闇へと消えて行った。
その後の二人は……。
「レク…剣帝の…息子なんだ…」
「あぁ……、そうらしい。
何があったんだろうな……」
少女二人は月見上げ、そしてレクサスへと視線を移す。
無垢な寝顔。
その奥に眠る夜よりも暗い感情を見透かそうとするが、濁った感情からは何も読み取れない。
いつか……。
いつかこの濁った黒い塊を、透きとおる宝石のような感情に変えてあげたい。
そう思う少女の上には満月。
遠くからは救護班らしき人の声が聞こえてきた。
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