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「レクサス!お前が剣帝の息子だろうと関係ねぇ!」
「そぅだよぉ~!レッくんが何者でも、今までのレッくんを私達は知ってるから」
「バルエル……、サラ姉……」
レクサスは自然と顔がニヤけるのを感じた。
普通の顔に戻そうと思っても、頬の筋肉が妙にソワソワして仕方がなかった。
内心、嫌煙されるのではと、根拠もなかったが心配だったのだ。
「レク……僕も……」
いつの間にやら、背中にくっついていたサテラも笑顔だった。
「みんなありがとう。そしてごめん。
オレ、もうジェノが発動しないよう強くなるよ」
その場にいた全員が微笑む。
どうやら誰かから話は聞いているようで、気絶した人も何のことか分かっているようだ。
「オレ達はお邪魔かな?」
「あぁ。仲良し組に割って入るのは野暮だ」
先輩二人は微笑みを浮かべながら、退室した。
そして、床でもぞもぞ動くフィアリアはというと。
「はっ!!
私は何を……?
んぅ!?サテラ!レクサスから離れろ!」
「いや」
「ぬぅッ」
フィアリアとサテラは取っ組み合いを始めた。
正直、レクサスも殴られたり蹴られたり、サラが参加したり、バルエルは「ちくしょー!」っと叫んだりで止めてもらいたいと思っている。
でも……、これがずっと続けばいいと思う自分もいる。
季節は春の終わり。
穏やかな初夏の暖かな光が差し込む室内には、皆の笑い声が絶えなかった。
(この繋がりは……切らせない)
赤髪の少年は今までで一番強く心に誓った。
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