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なんでも、出迎えてくれた人が着ているのは“浴衣”と言うらしい。
この浴衣なるものは“和”の雰囲気には欠かせないのだとか。
「これは、お客さまへの貸出しも行っておりますので」
「本当か!?」
今まで物珍しそうに浴衣をみていた、フィアリアの眼が輝いた。
そして、上機嫌なのか笑顔で足取りも軽い。
庭のような所をしばらく進むと、玄関が見えてきた。
「あのー、開かないのですが……」
レクサスは扉を押したり引いたりするが、ガタガタと音がするだけで開かない。
(何て持ちにくいんだッ。ドアノブくらいつければいいのに)
本人もムキになって何度もガタガタしている。
「クスクス……、お客さま、それは引き戸です」
案内をしてくれた女性が、口に手をあて少し困ったように、上品に笑っていた。
「「「……ぷッ」」」
「笑うなぁぁぁぁあ!!」
レクサスは頭を抱えながらその場にへたり込んだ。
その他一向はレクサスの首をフィアリアが掴み、引きずりながら中に入って行った。
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