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「ようこそいらっしゃいました」
中に入ると、浴衣と似ているがもっと豪華な服をきて、髪を結上げているいかにも大人な女性が座ってお辞儀をしていた。
中の雰囲気も外と同じで落ち着いており、木を主とした作りに白い壁が映え、少しオレンジがかった光が癒しを与えてくれる。
「当旅館をご利用戴くにあたり、最高のおもてなしを約束致します」
そう言って微笑む姿には品がある。
またまた聞いた話だが、この女性は“女将さん”と言い、着ているのは“着物”らしい。
しかし、フィアリアは着物を見たときは特に何の反応も示さなかった。
レクサスは浴衣と着物の大きな違いがわからず、女心は難しいなぁとうんうん唸る。
「あら?そこの赤髪のボクかな?
さっき扉を押したり引いたりしてたのは」
女将さんは意地悪な笑みを浮かべ、レクサスの鼻を人差し指でチョンッと突いた。
なかなかお茶目な人らしい。
「「「……ぷッ」」」
「女将さんまでぇぇぇぇぇえ!!」
その後しばらく、レクサスは体育座りを満喫していた。
「あら、私と髪の色が同じね」
女将さんはポンッと自分の手のひらを叩き、ニコニコ顔でレクサスの隣にしゃがみこむ。
「え?今さらそっち?体育座りとかの突っ込みは?」
またいじけた。
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