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一方、突っ走って行った三人はというと――
「ここだ!」
レクサスが自分達の部屋を見つけ、今度は横に勢いよく開ける。
「今度はちゃんと開けれた!」
「それどころじゃないだろう!」
感動しているレクサスをフィアリアが押し倒し、バルエルもその上を踏んで通る。
彼らをここまで焦らせる理由、それは室内にいた。
「みんなおそいなぁ……、捨てられたのかなぁ……」
室内の真ん中で横になって、指をイジイジと床に擦り付けてる女の子。
「サラ(姉)(さん)!」
そう。その女の子はいつも元気ハツラツ娘のサラだ。
ちょっとした理由があり、サラは寂しくなると超ネガティブモードになるのだ。
「あれぇー、私を捨てたみんなが見える……。
幻覚まで見えるなんて末期だねぇ、末期」
サラは顔を一度此方に向け、そう言うとまた指で遊び始めた。
「サラさん!私達は捨てたんじゃないぞ、アナタが時間を間違えたんだ!」
「違うわ、これは幻聴よ。罠よ。騙されちゃダメよサラ!」
このときのサラはしつこい。
とにかくしつこい。
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