もう夏ということなので

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この独特な香りを放つものは“畳”なるものらしい。 ここは珍しいものばかりだ。 そして、大きな窓から海を見ていたバルエルが堪えきれなくなった。 「海行こう!海! ピチピチギャルが俺を呼んでいるぅ!」 「パシリ要員としてな」 「こぅらぁぁあ!」 バッサリとバルエルを言葉で斬り捨てていたレクサスをよそ目に、フィアリアがある重要なことに気付いた。 「そういえば……。 部屋は一つなのか?一応男女なんだが?」 この言葉に部屋のなかの、ありとあらゆる動く物は静止する。 沈黙を破るのは……、 「あら? 部屋は一つで良いと聞いていたんだけど」 女将さんだ。 そして次はサテラが首をかしげながら核心に迫る。 「ここの…予約を…任せた人…?」 そうして全員の視線がある一人の人物へと向けられる。 その視線の先にいる人物は、体をちぢこませてビクビク震えていた。 「レクサス!」 フィアリアがレクサスの前に仁王立ちする。
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