12917人が本棚に入れています
本棚に追加
/719ページ
「つーかよぉ、んな強ぇならあんたが倒せばいいんじゃねぇのか?」
ギロムはラベラズリを見ながらそう言う。
この場に他の精霊がいたら殴りかかりそうな態度で。
「無理じゃ」
しかし、ラベラズリはそんなことは気にしない様子でそう答えた。
「ワシは星命の泉には入れんからの……、そういう約束じゃ」
ラベラズリは沈んだ表情で窓の外の景色を眺める。その様子にギロムは何も言えなくなった。
「レクサス」
「んん?ジャンヌか」
レクサスは転移の時間まで準備運動でもしようと屋敷の庭で素振りをしていた。
そこへジャンヌがひょっこりと現れ、相変わらずの無表情で立っていた。
「良かったですね。方法があって」
「あぁ、ほんとだな。ジャンヌにも感謝してるよ」
「……私も彼女には助かってもらいたいですから」
「なんだ、じゃあ一緒に頑張らないとな」
若干、レクサスから視線を外しながらそう言う彼女を見て、レクサスは軽く笑ってしまった。フィアリアを助けたいと思ってくれてる人がいるのは嬉しかった。
「この戦いも……、貴方にとって大事なものとなりますね」
ジャンヌは静かにそう言った。
「俺の運命って奴か?悪いけど俺はフィアリアの為に戦うよ」
「それでいいんです。私も……、お手伝いしますから」
ジャンヌの態度と言葉に首を傾けるレクサスだったが、すぐ笑顔になり『あぁ、頼む』と呟きジャンヌの横に立った。
「そろそろ行こうか」
「……はい」
二人は揃って歩き出した。
一人の少女を想いながら。
最初のコメントを投稿しよう!