氷牢のチェプリルカ

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……来る? やっと……、やっと来るのね? 長かったわ。ずっとこんなところにいるんだもの……。 早く私をここから出して……。 ゆらゆらと揺れる青水晶の水面を眺める。 それは見飽きた風景。いつもと変わらない。何の変化もない。 でも、それももうすぐ終わる。 やっと、外に出られる。 頭の中には外の世界のことばかりが浮かぶ。 最初に何が見えるかな? 最初に何を食べようかな? あの子達はどんな顔をしてるのだろう……? 自然と笑んだ頬も、興奮でほんのり紅くなった頬の感触も気持ち良い。 しかし、見つめていた水面に一つの影がさす。どうやら水面に立っているようだ。 そうだ、貴方がいたわね……。 でも、あの子達はきっと貴方を倒す。 私が選んだ子達は、決して弱くない。強いもの。 例え伝説にまでなった貴方が相手でも。 ――私はそう信じてるわ。大丈夫。貴方達なら、きっと―― 。
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