栄光

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俺は真っ白な空間の中にいた。 おいおい、何かよくあるパターンだな。 都合良くパワーアップしたりするのか? ……なんてな。 俺は、多分、死んだのか。 『死ぬのか?』 「……は?」 声が聞こえた。 男の声だ。 しかし、どこから声がしたのかより気になるのはその内容だ。 「……俺は生きているのか」 『あぁ、生きているな。さぁ、どうする。生きるか?』 「そんなの当たり前………ッ」 なんだ? これは……、俺が……。 「うわ、うわぁぁぁぁあぁあぁぁあ!?」 『……怖いか』 「ふざ……ッ、けるなぁ……!」 俺の目の前に浮かぶのは、あの瞬間。 巨大な氷の剣が俺めがけて、急降下してくる光景。 あのときは本当に怖かった。 ――死を確信した瞬間だった。 それが繰り返し、何度も、何度も、頭に……。 『生きるとはそういうことだ。常に死がつきまとう。そして……、お前の場合には特にな……」 汗が止まらない。 震えが止まらない。 荒い呼吸が落ち着かない。 暴れる心臓が落ち着かない。 恐怖が……、拭えない。戦うのが……、怖い。 『チェプリルカは強いぞ。まだあいつは底を見せてなどいない。 戦えるか、圧倒的死の予感と』 「ハァ……、ハァ……!」 冷や汗が止まらず頬を流れる。 恐怖が頭の中を支配していくのがわかった。
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