‐ F´s smile ‐

19/19
12917人が本棚に入れています
本棚に追加
/719ページ
明かりはついてない。ただ、月明かりだけが、室内を明るく照らしていた。 並んだベッドの一番奥。そこに彼女は寝ているはずだ。 レクサスがゆっくりと部屋に入ると、暗い教室の中で、ベッドに座って窓の外を眺めている人がいた。 レクサスが扉を閉める。 その人物は驚いたように、音のした方を向いた。 その時、月明かりに銀が煌めいた。 レクサスはゆっくり近寄り、その人の頭を抱き締めた。 レクサスの背にゆっくりと手が回ってくる。 「あの時の返事言うな?」 「あの時?」 「大好きって言ってくれただろ?」 「ひぅ!?あ、あれはだな……、勢いというか……」 「嘘なのか……」 「ち、違う!本心だ!」 慌てて顔を上げる彼女の頭を再び自分の胸へと引き寄せた。 「じゃあ、言うぞ?」 「う、うん……」 本当に振り回されてばかりだ。 今さら殺してないなんて。 頭が追いついていくわけがない。 色々ありすぎて気が狂いそうだっつーの。 でも……、でもさ……、一人じゃないんだよな。俺だけじゃないんだよな。 そうさいつだって……、こいつは俺の支えでいてくれる。 だから…… 「大好きだ、フィアリア」 彼女が顔を上げたとき、そこにあったのは俺が一番見たかった笑顔だった。 ――To be continued
/719ページ

最初のコメントを投稿しよう!