12917人が本棚に入れています
本棚に追加
/719ページ
明かりはついてない。ただ、月明かりだけが、室内を明るく照らしていた。
並んだベッドの一番奥。そこに彼女は寝ているはずだ。
レクサスがゆっくりと部屋に入ると、暗い教室の中で、ベッドに座って窓の外を眺めている人がいた。
レクサスが扉を閉める。
その人物は驚いたように、音のした方を向いた。
その時、月明かりに銀が煌めいた。
レクサスはゆっくり近寄り、その人の頭を抱き締めた。
レクサスの背にゆっくりと手が回ってくる。
「あの時の返事言うな?」
「あの時?」
「大好きって言ってくれただろ?」
「ひぅ!?あ、あれはだな……、勢いというか……」
「嘘なのか……」
「ち、違う!本心だ!」
慌てて顔を上げる彼女の頭を再び自分の胸へと引き寄せた。
「じゃあ、言うぞ?」
「う、うん……」
本当に振り回されてばかりだ。
今さら殺してないなんて。
頭が追いついていくわけがない。
色々ありすぎて気が狂いそうだっつーの。
でも……、でもさ……、一人じゃないんだよな。俺だけじゃないんだよな。
そうさいつだって……、こいつは俺の支えでいてくれる。
だから……
「大好きだ、フィアリア」
彼女が顔を上げたとき、そこにあったのは俺が一番見たかった笑顔だった。
――To be continued
最初のコメントを投稿しよう!