鍵の無い密室

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針の密室。ウン百万円の絵。 あまりに日常とかけ離れた光景だった。 と、そこに、 「あなた。予約してた加藤夫妻と清川さんが食堂でお待ちですよ」 後ろに中年のエプロン姿の女性が立っていた。美咲ほどではないが、昔は美人だった面影がある。 「おっと、もうそんな時間か。じゃあいつものように庭の手入れを頼むよ」 「わかりました。あと予約してた伊藤様が遅れるみたいですよ」 「そうか。しょうがない。じゃあ私は料理を作るからあとは頼むよ」 「はい」 と言って女性は庭の方へ行った。 う~む…清楚な人だ。 「山内さ~ん、あの綺麗な人は奥さんですか?」 嬉しそうに美咲が聞いた。 すると山内さんは少し照れた様子で 「そうです。香奈枝といって…本当によく働いてくれるいい家内ですよ」 と言った山内さんは本当に幸せそうだった。 ……僕も結婚したいなぁ…。
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