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「うわっ!!!何だよいきなり!あぁびっくりしたぁ~……」
確実に一年寿命が縮んだ。
「もしかしてあれは密室殺人じゃないのかもしれない」
「何言ってんだよ。どう見てもあの部屋は密室だろ?……もしかして美咲、密室のトリックが解ったの?」
「いや、そうじゃないんだけどね……」
「じゃあ何んなのさ?教えてよ」
少しためらって美咲は
「…もしもの話よ。もし山内さんが犯人ならあの部屋は密室じゃなくなる…」
「バカな。山内さんならずっと料理してたろ」
「でも山内さんが厨房に入ってからは料理が出来るまで約40分間誰もあの人の姿を見てない!!」
「それって…」
「そう。今回の事件は密室殺人に見せかけた山内さんによるアリバイ成立殺人の可能性もあるわ」
……確かにその可能性を簡単には否定出来ない。
「じゃあ山内さんはどんなトリックでアリバイを手にしたんだい?」
厨房に入ってから伊藤さんを殺すのは普通に考えれば不可能だ。そう、“普通”なら…。
「それは…わからない。それにこの話はあくまで仮説よ」
確かに厨房となれば換気扇があり、外部との接触や脱出が不可能ではない気もする。
……また容疑者が増えた。
事件は振り出しに戻った。
密室、アリバイかぁ……。もう何が何なのかわからなくなってしまった。
僕は深い溜め息をついた。
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