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そして…ヒスイは帰ってきた。
なにも…城のことを知らないその笑顔で……。
「…な…にこれ…」
ヒスイが見ている城はただの城ではなかった。いつもの城は、みんなワイワイやってて、城の明かりが綺麗だった。
……だが、今はどうだ。
城全体が黒い渦にのみこまれ、いかにも恐ろしい城と化している。
ヒスイは、このままだといけないと思ったのか、魔法でドゥーエに話した。
「風の精霊よ…。我が主の声…その魔力を通して伝えよ」
すると、風の精霊は、綺麗な緑色の小さな竜巻を起こした。
『どうしたの? ヒスイがこんな時間にかけてくるなんて珍しいね』
ドゥーエの声が、竜巻を通って伝わってくる。ヒスイは、あえて冷静にして、ドゥーエに話した。
「ドゥーエ、いきなりだけど、よく聞いてね」
「うん?」
「私の城がなんか黒い渦にのみこまれてるの」
『ええ!? なんで!?』
「わからないよ…。でも魔法がかかっているのは確か…!」
「火の精霊フレアよ。その鬼神のごとき、烈火で我が道を阻む敵を焼き尽くせ」
ヒスイが言おうとすると、後ろから不意に呪文の詠唱が聞こえてきた。
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