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それは4時間目の音楽の後でした。いえ、理科の時間だったでしょうか。
とにかく、他の教室から戻り、お弁当を食べようと机を並べ替えていたときでした。
「ない!あたしのお弁当がない!」
声を上げたのは西川さんでした。クラス全員の視線を集めている西川さんは、知ってか知らずか、鞄やら、机やらを引っかき回していました。
「めぐちゃん、お弁当忘れたの?」
西川さんと仲のいい後藤さんが聞いています。
「違うよ!あたし、ちゃんと持ってきたし!」
「うるせーな、ぎゃんぎゃんわめくなよ。忘れてないんだったらどっかにあんだろ?」
誰かの言葉に、西川さんは顔を真っ赤にして怒り出しました。
「ないから言ってるんじゃない!あ、もしかしてあんたが隠したんじゃないでしょうね!早く出しなさいよ!」
「何で俺がお前の弁当隠さなきゃなんねーんだよ!お前が休み時間にくったんじゃねーの?デブ女!」
「なっ!なによ!やっぱりあんたが隠した可能性がたかいわよ!」
そんな言い争いをしている最中、どこに行っていたのか、クロ君が教室に戻ってきました。
いきなり響いた扉の音に、それまでの喧騒がぴたりと止みます。
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