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翌日。
私は、学校に着くなりサチを屋上に連れ出し、事の始終を話した。
サチは、初めは真面目な顔をして聞いていたけど、キス云々の段階になると声を出して笑いだした。
「サ…サチ~…??」
「ゴメンゴメン!私、相馬からアンタのこと相談されててさ。アンタの気持ち知ってたから、多少強引なくらいでも大丈夫って伝えたんだ」
…なるほど。
だから、私の気持ちに気づいてたってことか…。
「だけど…そんなやり方で来るとは…やるなぁ…」
サチは、腕組みしながら顎に手をあて、うんうんと妙に感心していた。
「でも、良かったねー!ずっと好きだったんでしょ?」
サチの言葉に、私は小さくウンと呟くとフェンス越しに校庭を見つめた。
校庭では、サッカー部が朝練をしている。
すぐに航多の姿を見つけた。
そして、少し離れたところで朝練を見ている女の子たちの集団も…。
「あー…サッカー部の朝練かぁ。あら、また見物人がいる」
私の視線に気づいて、サチも校庭を見下ろす。
ちょうど、航多がシュートを決めたところだった。
女の子たちの黄色い歓声がかすかに聞こえる。
「航多って、モテるよね…」
「んー?まぁ、あの容姿だしねー。イイ奴だし?爽やか好青年だからねぇ」
私は、はぁっとため息をつく。
「何、ため息ついちゃって…」
「なんか…。私、航多と釣り合うのかなって思って…。航多なら私じゃなくて、もっとかわいい子がいくらでもいるのにって思うの」
サチは何も言わない。
「好きって言ってもらえたのに、嬉しい反面怖いっていうか…。私が彼女でいいのかなって」
サチは、うーんと唸った。
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