彼氏と彼女

5/7
前へ
/105ページ
次へ
『今から部活。教室で待ってて。一緒に帰ろう』 航多からメールが来ていた。 今までだって、同じようなやりとりはあったのに、妙にくすぐったい。 『わかった。部活、がんばって』 そうメールを返すと、私は自分の席に座った。 私の席は窓際。 窓からは、部活中の校庭が見える。 なんとなく、ぼんやりと見つめていた。 校庭ではいくつかの部が活動をしているのに、私の目は自然と航多を探してしまう。 航多は同じ2年の男子と組んで、準備体操をしていた。 無邪気に笑う笑顔。 「…好き…」 聞こえるわけない。 だから、言える。 私は腕に顔をうずめた。 その時、航多がこっちを向いた。 「!!」 私を見て小さく手を振る。 恥ずかしくて思わず、隠れてしまった。 心臓がバクバクしてる。 「好き」なんて呟いたからかな。 こっち向くタイミング良すぎだよ…。 私… なんか、意識しすぎ…? 今まで、ただ想うだけだった幼なじみ。 学校1人気のある幼なじみ。 その人が、私の彼氏だなんてどう接したらいいのかわからない。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

267人が本棚に入れています
本棚に追加