想い

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結局、その日はそれ以降手を繋がないで過ごした。 だけど、航多はいつもと同じように明るく、時々私を笑わせながらのひとときだった。 普通に話をしながらお店を見て、電車に乗って帰ってきて…。 マンションまで戻ってくると、いつものようにエレベーターホールで立ち止まった。 改めて、航多の顔を見る。 やっぱり、かっこいいな…。 あの子たちじゃないけど、やっぱり私とは…。 ………。 …だめだ!やめよう! 今は何を考えてもネガティブになってしまう。 気持ち切り替えよう…。 「…じゃあ、また明日ね」 私は5階。航多は1階。 航多とはいつもここで別れる。 私は航多に手を振ると、エレベーターに乗り、5階のボタンを押した。 ドアがゆっくりと閉まり、ガラス窓ごしに航多にもう1度手を振る。 …はずだった。
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