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「相馬がそんなことをねぇ…」
サチは、サンドイッチをかじりながら空を見上げた。
時は昼休み。
サチと屋上で昼ご飯を食べていた。
実は鍵が壊れているんでいつでも誰でも入れるんだけど、そのことを知っているのは今のトコ私たちだけみたい。
だから、恋の話や秘密の相談をする時はいつもここに来る。
私はサチに、エレベーターでのことを打ち明けていた。
その時感じた私の気持ちも一緒に。
「相馬って、すごい爽やか系イケメンって感じなんだけど、けっこう大胆なのねー」
いつものサチのニヤニヤ笑い。
「あ、でもそれはアンタが相手の時だけなのかなー」
サチの言葉に、あの時の航多を思い出して恥ずかしくなる。
「ちょっと~、思い出して赤くなんないでよ、エロいなぁ」
「エロっ…?!」
サチは、声をあげて笑い、ふと真面目な声になる。
「でも、そうやって一つ一つちゃんと前向きに考えてるアンタは可愛いよ」
その言葉にドキッとする。
「付き合ってすぐの時、アンタは『周りが納得しないよ』って、そればっかり言ってた」
確かに。
「今は、『航多の気持ちに応えたい』になってる。相馬の気持ちに応えたいって言ったアンタのこと、ちょっと綺麗だって思っちゃったよ」
いつも、あんまりお世辞とかを言わないサチの言葉だから素直に信じられた。
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