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「それに…」
サチは言葉を続ける。
「最近、後輩に良く聞かれるんだよねー。相馬の彼女ってアンタかって」
ごほっ!
おにぎりが喉にむせた。
「汚いなぁ~、もう。動揺しすぎ…」
いや、だって…と目で訴える。
「付き合った当初は聞かれなかったのに、なんで今になって聞いてくるんだろうね?」
サチはにっこり笑う。
「アンタが彼女である可能性もなきにしもあらず、と周りが考え始めた証拠じゃない?」
サチの考えはこうだった。
航多に彼女ができたってニュースが広まった時、何人かの女の子の名前が挙がっていた。
もちろん、みんな男子に人気があって女子も認める可愛い子。
ちなみに、私の名前は挙がってない。
私は、航多と良く一緒に帰ったりしていたけど「幼なじみだから」と思われていたから、彼女という可能性も考えられてはいなかった。
「それこそ『ありえない』くらい思われていたんじゃない?」
サチ…グサグサくるよ、その発言。
ところが、その後、彼女についての噂は一切ない。
でも、幼なじみの私とは相変わらずのよう。
考えられる理由は2つ。
1.彼女ができたという噂は嘘。
2.幼なじみである私が彼女
「つまり、『ありえない』と思われていたのが『ありうる』に変わったわけよ。これって、眼中に入ってきた証拠じゃない」
ところどころ、失礼なセリフがちらほら見えたのは目をつぶろう。
だって、サチが励ましてくれてるっていうのがわかるから。
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