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授業の開始を告げるチャイムが鳴っていたけど、教室に戻る気にはなれずにフラフラと校内を歩く。
先生に見つかったら、保健室に行くところとでも言えばいいや…。
「…葉山?」
突然、後ろから名前を呼ばれてビクッとする。
だけど、この声は…
「亮佑くん…」
桐島亮佑(きりしまりょうすけ)くん。
航多の親友で、生徒会の副会長。頭が良くて知的で大人っぽい雰囲気を持っている人。
1年の時、航多やサチと同じクラスで仲良くなったけど、クラスが離れてからはあまり会わなくなっていた。
「こんなところで何してるの?」
「あ…ちょっとフラフラと…。亮佑くんは?」
「僕はサボり」
「そうなんだ…ってえぇ?!」
真面目なイメージが強いのに。
意外すぎて思わず叫んでしまった。
慌てて口を押さえる。
「そんなに意外かなぁ…。でも、葉山がサボりってのもけっこう意外だけど?」
どう答えていいのかわからなくて、黙りこんだ。
「そうだ、葉山。僕を手伝ってくれない?体育祭の資料を作りに生徒会室に行くところだったんだ」
亮佑くんは、優しく微笑むと着いてきてと手招きして私を生徒会室に案内した。
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