『理科室』

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『理科室』

何で理科系の先生って、不気味な人が多いんだろ。 クラス全員のノートを、抱えなおしながら、委員になって、やっぱり最悪だと思った。 ノックをした。 返事がない。 居ないのかな? ちょっとラッキーw さっさと置いて、帰ろう~っと。 ギィー。 古い学校はやだな。 暗いし、ドアも木制で… 入った途端に、心臓が止まる程驚いた。 目の前に、白衣のミイラ…いや、理科の先生が立っていたのだ。 あの、これ。 (居たんなら、返事くらいしてよ!!) ムッとしながらノートを置いた。 理科室独特の、妙な薬品の酸っぱい臭いが、鼻についた。 ぅわ、早く帰ろ。 後ろを向いた時、腕を掴まれた。 驚いて、思わず振り払おうとしたが、離れない。 凄い力だ。 あのミイラ先生とは思えない意外さに、恐怖が走った。 「ありがとう」 この先生の声、こんなだったかな? 「ぃ、いえ。じゃあ。」 何だよ、そんな事で、掴むなよ!! 後ろから言えばぃぃぢゃん!! 痛いっちゅうの。 ビビったしっ!! 行こうとすると、より一層手に力が入った。 「痛いんですけど!!」 気味が悪いのと、本当に痛かったので、かなり腹が立った。 すると、少し力を緩め、土色の皺(しわ)だらけの顔に、薄い血の気の無い、かさついた唇を歪め、笑った。 目ヤニのこびりついた、意外に大きな目は、決して友好的な眼差しはしていない。 むしろ、軽蔑や憐憫(れんびん)いや、憎しみすら感じる視線を投げ掛けていた。 「な、何なんですか!?」 次にムカツイたら、殴ってでもここから、離れようと思った。 「ありがとう」 はぁ?だから、それはもぅ聞いたっ!! 戸惑ってると、そいつは、勝手に話はじめた。 「待っていたよ。君しか居ないんだ。世界は君にかかっているんだ。」 こいつ、イッテる!! ヤバイ!! ノートを届けたくらいで、何かされたんじゃ、たまらない。 逃げなきゃ。 そんで、皆に言って、こいつを追放、いや拘束してもらわなきゃ!! 「拘束されるのは君だよ。」 え?今、口に出したか? そいつの目が、糸の様に細くなり、嬉しそうに笑った。 もう片方の手が、僕の口に被さった… 振り払おうとした…筈… 膝が、ガクッと床に落ちたのが、痛みでわかった…が、それも、夢の中のような、遠い鈍い痛みに変わって行った…
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