『更衣室』

2/16
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
「ご…ごめん。大丈夫?」 唯は、泣いたままうずくまって起き上がってこない。 そこまでするつもりは無かったが、本気で心配も、反省もしていなかった。 葵は、小柄で華奢で、パッと見、少年に見える。 性格も、言葉使いも男の子っぽかった。 各運動部から、顧問が土下座するくらい、助っ人を頼まれるスポーツ万能の葵。 周りから、キャラ固定の目で見られ、ますます男っぽく振る舞っていた。 唯は、中学生になって、その成長が凄かった。 女王蜂のように、何か特別のエサをもらってるのか?と思うくらいだ。 道を歩くと、世の男どもが、必ずチラ見をする。 学校でも、もちろんそうだ。 唯は、それが凄く嫌だと言う。 なら、何でそんなに、一層アップするようなブラつけてくんのさ。 そんな思いで、葵は毎回、ブラを弾いて、痛い目に会わしてやった。 葵だって、好きな人がいる。 恋する15才、乙女なのだ。 でも、もし誰かにそれが知れたら… 笑いのネタにされるだけだ。 ブラなんて要らないよね~って、母親にすらからかわれた。 何度泣きながら、寝たか… 日記には、ピンクのペンで、可愛い文字を並べている。 誰にも見られないから。 文章も、甘えた言葉で。 「子うさぎ あおぴょんの彼氏はぁ~今日も、優しかったよ~♪」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!