17人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
三学期も中場になってから、転校するなんて、うちの親は何も考えてくれてないな。
しかも、安くていい物件!!何て慌ててローンで購入。
何だよ、この閑な景色は…
きっと、トトロが住んでるよ…
ド田舎の学校は、一学年一学級。
前の学校は、6クラスあった。
卒業まで話すらしないヤツもいるだろう。
適当な位置に居たい俺は、心地良かった。
ところが、転校生の上に、ひとクラスだぁ?
気が重い何てもんじゃない。
見た目も、勉強も、スポーツも何もかもが『普通』
立候補したり、人前に出るのは面倒。
クラブも、帰宅部。
好きな子は居たが、彼女は居ない。
ま、クラスにいてもいなくても、ぃぃキャラだった。
仲のいい連れは、2人。
そのうちの一人が、お別れ会に泣いたのには、驚いた。
「日曜に、行くからよぉ!!地図書いてくれよぉ!!」
こんな熱いヤツだったか?
地図ったって、駅から一本道だし(笑)
何もないとこだから、って軽く断った。
俺にだって、ちょっとは見栄がある。
あんな取り残された田舎に行ったなんて、知られたくない。
コンビニもねぇ~♪
何て歌があるらしい。
今時珍しい、地道をガタガタ軽トラを、走らせながら、親父が歌ってた。
高校になるまで、あと2ヶ月だけだ。
すぐに、抜け出せる。
この町(村?)には、高校はない。
一人暮らしかな?
少しの間、別荘に来たと思えばいい。
中学校が見えた。
小学校が隣にある。
と言うか、平屋の校舎が、並んでいるだけだ。
校門も一緒。
門柱に、消えかかった筆文字で、河原城中学校 河原城小学校 と並んで書かれている。
はぁ…
誰も居ない。
今日は、土曜だ。
俺だけ何か書類だの、聞きたいことがあるだのと、呼び出されたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!