『美術室』

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先輩たちが、少し驚いた顔をしたので、その時は、小気味がよかった。 「じゃあ、明日までにね」 睨みつけながら、出て行った。 …で、ここに居る。 はぁ…。 馬鹿だよなぁ。 でも、やってもいない盗作疑惑を認めるわけにはいかない。 だからといって、明日までに、このキャンバスに… テーマは『過去』 こないだの『未来』の逆か? 相変わらず、イメージが貧困で、笑える。 で、描いたらどうだっての? さっさと、済ませるかぁ。 でも、気分乗らない。 明日は、英語の宿題と数学の小テスト、それに…ぁあー、塾の宿題もある。 マジで悪夢だゎ。 眩しい!! 夕陽がさしこんできた。 ヤバイ。 何でもぃぃから、埋めちゃおう。 下書き無しで、赤と黒を重ねて行った。 意味は無い。 手を伸ばした時に、掴んだ、それだけ。 斜めに、殴り書き。 さて、理由付けしなきゃな。 解釈ってか… 描きながら、ぃや、出来てからでもぃぃや。 そんな事を考えていて、嫌な事を思い出してしまった。 夏合宿の夜聞いた、七不思議の話を。 美術室の話。 一人で残って描く時は、必ず右から二番目のデッサン用の石像を、後ろ向きにしておく事。 それでないと、その石像が… なんだっけ。 馬鹿にして、何となくしか聞いてなかったな。 眠かったし。 でも、今思い出さなくても、よかったじゃん… アタシの馬鹿… そうなると、後ろにある石像が気になり出す。 運動場では、野球部の掛け声が聞こえる。 ん、大丈夫。 一人って気がしないよね。 窓を見た瞬間
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