二幕「日陰な日向」

6/6
前へ
/15ページ
次へ
「その分…とても良い事が起こることを、あたしは知ってるから。 だから、大丈夫だよ。 あたしも…日向も、今は見えない希望をいつかは掴める…。」 「ナナ、私は貴女に最後まで付き合います。 …だけど、貴女には必ずペナルティが待っています。 しかも、前とは比べものにならないでしょう。 …いいんですね、ナナ?」 「うん、あたしはそれでも奇跡を起こすよ。 それが…あたしが見つけた仕事だから。 誰に言われても、これだけは譲れない。」 もう、ナナの瞳に悲しみは点っていない。 代わりに、強く輝く希望が見えた気がした。 フランはナナに頷くと、励ます様に微笑んだ。 ナナもホッとした表情を返し、夜空に軽く鎌を振るうと、泡の様に消えた。 ナナとフランが消え、今度こそ誰も居なくなった部室は、不気味なほどに静まり返っていた。 これから起こる様々な事に振り回され、あがくことを運命づけられた人々を嘲笑うように。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加