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「……あははははは!
日向くん、面白い…!」
「笑うな!!てか、俺の質問に答えろよ?!」
「あはは…だって、一気に質問されても答えられないもん。
じゃあ、まずは自己紹介ね!
あたしは…全知全能の神様、ナナ!」
「…の使い魔のフラン、と申します。」
「………………。」
日向は思わず目眩を起こし、頭を抱える。
三人の間に奇妙な沈黙が流れ、ややあってナナが痺れを切らしたように口を開いた。
「………ね、早くつっこんでくれない?
訂正出来ないんだけど。」
「はっ?!つっこむて…何を…。」
「あたし、どう見たって死神でしょ?だから♪」
「…あぁそう…。」
日向は正直、“ただのコスプレイヤーの痛いカップルだろ”と思ったが、それは喉元で止めておいた。
そのおかげか、ナナは日向が失礼なことを考えているとは気付かず、満足げにフランに笑いかける。
「フラン、やっぱり分かってくれたよ♪
じゃ、改めまして…あたしは死神のナナ!
よろしく~日向くん。」
「…どうでもいいけど、何で名前知ってんだっての…。」
「ナナは、神の端くれですからね。
私はナナの使い魔で、本名はフランシス=ド=ルクセール三世…なのですが、フランとお呼び下さい。」
「…死神ねぇ、有り得ないね。
あのさ、何したいんだか知らないけど、騙すならもっとマシな嘘つけば?」
「有り得るよ?
実際今ここに居るじゃない。」
日向は二人の二回目の自己紹介を左から右に聞き流し、一瞥もくれず立ち去ろうとする。
そんな日向の背中に、ナナのムッとした様な声が掛かった。
彼が面倒臭さそうに振り向けば、首元にひやりとした物が当たる。
「…で、死神が何の用?」
「この鎌でスパッと狩って、君の魂貰っちゃおうかなぁ…。」
「ふぅん、それって死ぬってことか?」
日向は首元に鎌を突き付ても、脅しても、憎たらしいほど冷静だった。
フランは、顔をしかめて鎌をどかすナナに肩をすくめてみせ、今度は日向に鋭い視線を向ける。
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