二幕「日陰な日向」

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「貴方が、私達の存在を信じるか否かは自由…。 …ですが、もし貴方が真っ当な人生を歩みたいと望むのなら、ナナの言葉を心に留め置くべきです。」 「……………。」 日向はあまりにも真剣なフランに、何も言えずに黙り込んだ。 ナナもその雰囲気に違わず、とても真剣な面持ちで日向を見据える。 「日向くん…ううん、日向。 今のまま何もしなければ…君の半分が死んじゃうよ? 間違いなくね。」 「俺の…半分…? 何だよそれ…。」 「日向、うじうじして…後ろばっかり振り向いてたら、失わなくてもいいものまで失うことになるの。 後は、その出来た頭でちゃんと考えれば、おのずと答えが分かってくるはず。 …頑張って、日向。」 「…では、また後ほど。」 「お、おいっ!待てよっ」 「…日向、運命って変わると思う? それとも、変わらない?」 困惑する日向に、ナナは振り返ると一言だけ残して跡形も無く消える。 「…訳分かんねぇ…。 何なんだよっ…あいつら。」 日向は自分を死神だと名乗るナナと、使い魔のフランの二人に不快感を感じずにはいられなかった。 最初はそれこそ、ただの痛すぎるカップルだと思っていた。 だが、二人は明らかにこの世の者では無かった。 その紛れも無い事実が、日向の疲労感を増す。 だが、再び思考の渦にのまれた日向を衝撃が、重さを伴って現実に引き戻した。 「よ~ぉ!城崎♪♪ なになに、どしたのかなっ? 珍しいじゃ~ん♪部室に居るなんてさ!」 「………お前……。」 日向は、いきなり背後からタックルをかましてきたクラスメートを睨むようにして見遣る。 正直、今一番と言っていいくらい遭遇したくない奴だった。 だが、奴はそんなことお構いなしだ。 「何だよ~しけた面してんなぁ、城崎! 久しぶりに部室で再会したんだから、もっと嬉しそうな顔しろよっ☆」 「……………。」 「あっ☆じゃあ…俺が、いいこと教えてあげよっか! お前に」 「うるさいんだよ!! 人の気持ちも知らないで、べらべら喋りやがって! 本当…何なんだよ!」 「え……城崎?」 「……………。 訳分からない…、気味悪いんだよ!」 クラスメートが困惑して固まっているのが、顔を上げなくても分かった。
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