1人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴方が、私達の存在を信じるか否かは自由…。
…ですが、もし貴方が真っ当な人生を歩みたいと望むのなら、ナナの言葉を心に留め置くべきです。」
「……………。」
日向はあまりにも真剣なフランに、何も言えずに黙り込んだ。
ナナもその雰囲気に違わず、とても真剣な面持ちで日向を見据える。
「日向くん…ううん、日向。
今のまま何もしなければ…君の半分が死んじゃうよ?
間違いなくね。」
「俺の…半分…?
何だよそれ…。」
「日向、うじうじして…後ろばっかり振り向いてたら、失わなくてもいいものまで失うことになるの。
後は、その出来た頭でちゃんと考えれば、おのずと答えが分かってくるはず。
…頑張って、日向。」
「…では、また後ほど。」
「お、おいっ!待てよっ」
「…日向、運命って変わると思う?
それとも、変わらない?」
困惑する日向に、ナナは振り返ると一言だけ残して跡形も無く消える。
「…訳分かんねぇ…。
何なんだよっ…あいつら。」
日向は自分を死神だと名乗るナナと、使い魔のフランの二人に不快感を感じずにはいられなかった。
最初はそれこそ、ただの痛すぎるカップルだと思っていた。
だが、二人は明らかにこの世の者では無かった。
その紛れも無い事実が、日向の疲労感を増す。
だが、再び思考の渦にのまれた日向を衝撃が、重さを伴って現実に引き戻した。
「よ~ぉ!城崎♪♪
なになに、どしたのかなっ?
珍しいじゃ~ん♪部室に居るなんてさ!」
「………お前……。」
日向は、いきなり背後からタックルをかましてきたクラスメートを睨むようにして見遣る。
正直、今一番と言っていいくらい遭遇したくない奴だった。
だが、奴はそんなことお構いなしだ。
「何だよ~しけた面してんなぁ、城崎!
久しぶりに部室で再会したんだから、もっと嬉しそうな顔しろよっ☆」
「……………。」
「あっ☆じゃあ…俺が、いいこと教えてあげよっか!
お前に」
「うるさいんだよ!!
人の気持ちも知らないで、べらべら喋りやがって!
本当…何なんだよ!」
「え……城崎?」
「……………。
訳分からない…、気味悪いんだよ!」
クラスメートが困惑して固まっているのが、顔を上げなくても分かった。
最初のコメントを投稿しよう!