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「いや、銀髪と金髪が入ってきたのは見た。そこからは知らない」
「やっぱり寝てたんじゃねーか!」
淡々とした声でそう言う善に、俺は思わずツッコミを入れてしまう。こいつが身長高いのって寝てばっかだからだ、絶対。寝る子は育つってこいつが言えば説得力あるわ。
だが俺のツッコミは華麗にスルー、そのまま善は『あいつ』へと視線を移して、呟く。
「――で、あいつは知り合いか?」
まぁ、当然の疑問だろう。違うって事は分かってるくせに。
俺はシャーペン拾っただけなのに、殴られるわカップル認定されるわ……やってられるかよ。いや、シャーペン拾っただけではないか……
――でも。
机に突っ伏し、顔を埋めている春野。
顔が隠れていて、その綺麗に流れる金髪だけが青いブレザーと相反して輝きを放っている。
「……朝に、知り合った。かな。……わからん」
「……?」
俺もよく、分からない。
(一悶着はあったが、)俺とは普通に話せてたくせに、教室に入ると急にあんな感じになった。
それは俺に気を許した……とかじゃないのは分かる。皆と関わる、その事にどこか一線を置いているところがあるように思えた。
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