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印象的ではなく魅力的。
スラリと伸びた足を黒ニーハイが包み、赤地のスカートの後ろを揺れる明るい赤。
それは熱血とはかけ離れ、むしろ対をなすのではないかと思うほど綺麗だ。
更には出るとこ出てる量感豊かな体型、線の細い繊細な小顔、大きなゆったりした瞳、全部が全部、魅力だった。
「有栖川 結愛(ありすがわ ゆあ)です。皆さん、これからよろしくお願いします」
ぺこりと、礼儀正しく頭を下げたと同時に、今まで唖然としていた生徒達の声が上がった。
「可愛いー!」
「よっしゃぁぁー!」
「うぉぉぉぉ!」
女子からは、やれ可愛いだの、やれ友達になろうだのという発言。
男子からは断末魔かと思う程うるさい叫び声が上がっていた。
俺はと言うと、その可愛さに、ポカンとしたまま。
視線を机に下ろすだけだった。
いやいや、一男子としてはやはり嬉しいものがあるのだが――
「――――、――」
先程からジト目で俺を見る魅姫の方が気になる。
窓際、華月の後ろが魅姫。
男子達は聖域という。
あそこにホイホイ入って行くような男子は俺だけらしい。
大分、眠気が覚めたのか、思考も冷めてきた。
歓声はいまだ止まない。
確かに、それだけの美少女だが、何でだろう?
興味が湧かない。
「こらこら、静かにしろお前ら」
吉田先生のその声で、俺は顔を先生の方に――
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