美少女転校生の爆弾発言

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「えっ?」 それは、俺が言ったのだろう。 頭を上げた視界の中に広がったのは、眉を寄せる少女の顔だった。 「――なに、してるわけ?」 繕った笑顔も思わず引きつる。 この状況下、何故吉田先生の一言だけで歓声が止んだのかを考えるべきだった。 つまり、吉田先生の声で、ではないのだ。 歓声が止んだのは、きっと、有栖川結愛が、いきなり俺の前に立ったからなんだろう。 「あのぉ、お名前、教えていただけませんか?」 「はっ? 姫萩 暁夜(ひめはぎ あきや)だけど……」 姫萩の名字は好きではない。 男なのに姫がつくのだ、なんかカッコ悪いじゃないか。 「姫萩……暁夜……」 俺に聞き返すというわけでもなく、有栖川結愛は呟いた。 その呟きに、若干の切なさと多大な幸福を、感じた気がした。 「暁夜さん。暁夜さん。あぁ、やっと、やっと暁夜さんに」 「は? な、なんだ?」 「私のこと、忘れたんですか?」 「え゛? いや、俺は有栖川さんみたいな美少女は知り合いにいないんだが――」 この瞬間だけ、魅姫の存在を忘れてしまった。 本人はどうとも思わないだろうが、なんとなく罪悪感が募る。 いや、今はそんな場合じゃない。 目前には美少女転校生。 周りの視線は男子の殺気。 デッドエンドを迎えるには要因が揃い過ぎている。
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